スナーク号の航海(32) - ジャック・ロンドン著

モロカイ島では、宣告されたハンセン病患者は再検査を受ける権利があり、患者はそのために継続的にホノルルに戻っている。ぼくがモロカイ島に渡るときに乗った蒸気船には、そうやって戻った患者が二人乗っていた。どちらも若い女性で、一人は自分の所有する財産を整理するためにホノルルに行っていて、もう一人は病気の母親に会うためだった。二人ともカリヒに一カ月滞在していた。

モロカイ島の居住地は新鮮な北東貿易風が吹き抜ける島の風上側にあるため、気候はホノルルよりずっと快適だ。景色もすばらしい。一方には青い海があり、他方にはパリの断崖がそびえていて、そこここに美しい渓谷がある。いたるところ緑の牧場が広がり、患者たちが所有する何百頭もの馬が放牧されている。馬車や荷馬車、二輪の軽量馬車を持つ患者もいる。カラウパパの小さな港には何艘かの漁船と小型蒸気船が係留されている。どれも患者が所有し操船している。むろん、海上にも境界が決められていて、船で行ける範囲は限定されているが、それ以外に制限はない。獲れた魚は衛生局に売り、代金は自分の稼ぎになる。ぼくが滞在していた間、一晩の稼ぎは四千ポンドだった。

漁をする者がいるように、農業をする者もいる。あらゆる事業が行われている。生っ粋のハワイ人の患者は塗装業の親方だ。八人を雇い、衛生局から建物の塗装を請け負っている。カラウパパ・ライフル・クラブに入会していて、ぼくも会ったことがあるが、ぼくなんかよりずっと立派な身なりをしていた。同じような境遇の男がもう一人いて、こっちは大工の棟梁だ。衛生局が運営している店の他にも民間の小さな店があり、商売っ気のある者が経営している。監督補佐のワイアマン氏は立派な教育を受けた有能な人物だが、生っ粋のハワイっ子で患者でもある。バートレット氏はいまは店主をやっているが、この病気にかかる前はホノルルで商売をしていたアメリカ人だ。この人たちの稼ぎはすべて自分のものになる。働けない者は地域で面倒を見てくれる。食べ物や住むところ、衣服が与えられ、治療も受けられる。衛生局は農業経営も行っていた。地元向けの畜産や酪農で、働きたい者には全員、適正賃金の雇用が与えられる。とはいえ、隔離された地域で、労働を強制されているわけではない。子供や老人、肢体不自由者には住むところも病院も確保されている。

リー少佐はインターアイランド汽船会社の造船技師を長く務めたアメリカ人で、ぼくが会ったときは蒸気を使う新しいタイプのクリーニング屋で働いていた。機械の据え付けで忙しそうだった。その後も彼とはよく会ったが、ある日、ぼくにこう言った。
「おれたちがここでどうやって生きているのか、ちゃんと伝えてくれよ。頼むから、ありのまま書いてくれよな。あんたは、みんながおぞましい腐った地獄と思いこんでいるところに足を踏み入れちまったんだ。おれたちだって誤解されたままでいるのはいやだし、感情を持った人間なんだ。ここでどう暮らしているのか、本当のことを世の中の連中に伝えてくれ」

ぼくがこの居住地で会った連中は、男も女も、口をそろえて同じような感情を吐露した。これまで事実に反する嘘をまじえて誇張して伝えられていることに憤慨しているのは、患者自身だった。

彼らが病気にかかっているのは事実だが、ハンセン病患者たちは自分の置かれた境遇で生活を楽しんでいる。居住地は二つの村に別れ、多くの田舎風の家や海沿いの家に、ほぼ千人が暮らしている。教会は六つあり、キリスト教青年会の建物や集会場もあれば、演奏会場や競技場、野球場、射撃場、スポーツジムもある。多くのグリークラブが活動し、吹奏楽団も二つある。

「ここではみんな満足しているので」と、ピンカム氏がぼくに言った。「ショットガンでも追い払うことはできないでしょうな」

そのことは、後でぼく自身が確認した。この年の一月、病気の再検査のためホノルルに行くことになった十一名の患者が、それを拒否してひどく抵抗したのだ。彼らは行くのを嫌がった。検査で菌陰性化がわかれば自由にどこでも行けるようになるのだが、自由になりたくないのかと聞かれると、全員が「モロカイ島に戻りたい」と答えたのだ。

かつてハンセン菌が発見される前、さまざまな、まったく異なる病気で苦しんでいる男女が小数ではあったがハンセン病と判断されて、モロカイ島に送られてきた。それから何年も経て、細菌学者が、彼らはもはやハンセン病にかかっていないし、そもそもその病気ではなかったと宣言したとき、彼らは逆に狼狽した。モロカイ島から外に出されるのを嫌がり、衛生局から仕事をもらって、そのまま居住地にとどまったのだ。現在、看守を務めているのはそのうちの一人である。ハンセン病ではないと宣言された彼は、島外に送られないように、有給で看守の仕事を引き受けたのだった。

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モロカイ島、患者の漁師たちと船着き場

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