今週の名言・名言 24

みんなが聞きたがっていることって、たぶん私たちが口にしたくないことだと思うわ。

ジュリー・マーフィー

ジュリー・マーフィーはアメリカの若い作家で、2015年にアメリカでベストセラーになった小説(Dumpling)の一節です。
自意識過剰で太っていることがコンプレックスになっている女の子が外に出て、人とふれあって、恋に落ちてという、よくある若い女性向けのラブコメディーっぽいのですが、あちらこちらに「そうそう」「あるある」と老若男女の共感を呼ぶフレーズがちりばめられています。
この台詞(I think maybe it’s the things we don’t want to talk about that are the things people most want to hear.)は、自分が人にどう思われているかが気になる人の、人にはほめられたいし、自分は人を素直にほめたくないし、という心理がよく出ています。
ダンプリングは日本でいえばお団子みたいなデザートで、母親がちょっと太ったわが娘をこう呼んでいるので、「子豚ちゃん」といった感じでしょうか。

日本では『恋するプニちゃん』(小学館)として出版されていますが、、、プニちゃんて……

今週の名言・迷言 23

この日、太平洋プールで、二回目の海水浴をやる。こんどは、太平洋も太平洋、ドまんなかである。あがってから、デッキで甲羅を干しながら、爽快やなぁと悦にいる。

堀江謙一

堀江謙一(1938年~)は1962年に全長19フィート(約5.7メートル)のヨット「マーメイド」に乗って、世界で初めて単独無寄港での太平洋横断に成功しました。23歳のときでした。

この言葉は、出港して四十三日目、日付変更線を超えた翌日のことです。

航海中に船を出て海に入るのは二度目でしたが、最初のときはサメがいないかキョロキョロしながらという状態で、それに比べると、航海にもなれて余裕が感じられます。

「背が立たないかぎり、どんなに深くったって、海は海だ。水深二メートルも五〇〇〇メートルも、似たようなもの。浮かんでいる人間にとっては、おなじである。どうせ、下のほうには用がないんだから」とも述べています。

当時、日本ではヨットで出国するための法律が整備されていなかったため、手をつくしたものの認められず、結局は不法出国となり、当然ながらパスポートを持たずにアメリカに入国することになったわけですが、サンフランシスコの当時のジョージ・クリストファー市長が、コロンブスを引き合いに出してビザを支給し、名誉市民として快挙をたたえたという話もよく知られています。

今週の名言・迷言 22

船は港にいる限り安全だが、そのために建造されたのではない。

グレース・マレー・ホッパー

グレース M ホッパー(1906年~1992年)は米国の数学者(女性)で、コンピュータのプログラミング言語の専門家。大学で数学を教えていたとき第二次世界大戦が勃発したため海軍に入り(退役時の最終階位は准将)、平行してハーバード大でコンピュータ用プログラムの開発に従事しました。

コンピュータのプログラムのエラーをバグ(虫)と呼びますが、ハーバードで開発していたコンピュータのリレー部分に実際に蛾がはさまったために故障したとき、その蛾を作業日誌に貼りつけ「バグが見つかった最初の実例」とメモしたというユーモアあふれるエピソードでも知られています。この日誌はスミソニアン博物館に収蔵されているそうです。

今週の名言・迷言 21

わたしたちの幸せは他の人々とのつながりに左右される。

ルース・ホイップマン

ルース・ホイップマンはイギリス出身で米国在住のジャーナリスト兼作家。イギリスではジャーナリストとして活動していましたが、夫がシリコンバレーに職を得たのを機に小さな子供を連れて一家で米国に移住しました。

アメリカ人が「幸せ」になることを異常に熱心に(まるで強迫観念を抱くように)追い求めている様子に驚く一方で、実際には彼らの多くが必ずしも満ち足りた幸せな生活をしていないことに気づき、『幸福の追求]』(“The Pursuit of Happiness”)(未訳)を著して注目されています。

アメリカ人の幸福追求は自己啓発やヨーガに代表されるように、社会と積極的に関わるのではなく、自分自身と向き合い、本当の自分を発見し自分らしさを追求するといった、日本でもおなじみの「自分探し」という内向き思考が主流になっていて、それに莫大なお金とエネルギーが注ぎこまれているにもかかわらず、彼女によれば、それがむしろ幸福になることを妨げているのだといいます。

人と交わる社会活動の多い人ほど幸福度、充実感が高く、それを避けて内にこもることは喫煙や肥満と同様に健康に悪いという研究結果を引用しながら、いかに充実した対人関係を築き維持していくかが重要だと述べています。

今週の名言・迷言 20

人は幸せになろうと心に決めた分だけ幸せになれる。

エイブラハム・リンカーン

合衆国十六代大統領リンカーン(1809年~1865年)はおそらく史上で最も人気のある米国大統領の一人です。「国民の国民による国民のための政治」という民主主義の根本をわかりやすく説いたゲティスバーグの演説や奴隷解放宣言でも知られていますが、インディアンに対しては敵対心を抱いて排除するなど、今日の基準に照らすと疑問が生じる行為もあります。

最初の共和党大統領であり、暗殺された最初の大統領でもあります。

子供は四人いましたが、成人できたのは長男だけで、次男は四歳、三男は八歳、四男は十八歳で亡くしています。そのためか、リンカーンは抑鬱状態になったことがあり、妻は夫や子供をなくしたことから精神疾患をわずらい、一時的に療養所に入所したりしています。

「幸せになろうと心に決めた分だけ…」というのは、そうした苦しみをへて出てきた言葉かもしれません。

今週の名言・迷言 19

ぼくは君がぼくに嘘をついたから怒っているのではない。これからはぼくが君を信用できなくなることに怒っているのだ。

フリードリッヒ・ニーチェ

ニーチェ(1844年~1900年)は一九世紀ドイツの哲学者。『ツァラトゥストラはかく語りき』『善悪の彼岸』などの著作で知られています。

牧師の息子として生まれたものの、後に信仰を捨て、無国籍となり、若すぎる晩年の十年ほどは狂気に生きた実存主義哲学の先駆者です。

三十歳以上も年齢の離れた作曲家のワーグナーとも親密でしたが、どちらも(よくいえば)個性が強く、(悪くいえば)ワーグナーは自尊心丸出しの俗物、ニーチェは頑固な変人で、当然のように衝突し、後に決別しています。

こういうことは彼の生涯には数多く、それがこの名言・迷言に結びついているのかもしれません。

今週の名言・迷言 18

穏やかで慎ましい生活は、たえず不安にさいなまれながら成功を追求するより多くの喜びをもたらしてくれる。

                                                                 アルバート・アインシュタイン

つい先頃、アインシュタインのメモ2つが約2億円で落札されたというニュースが流れて話題になりましたが、今週の名言はそのメモから。

アインシュタインはほぼ百年前の1922年に来日して帝国ホテルに宿泊中に、手紙を届けてくれた人にチップ代わりにホテルの便せんを使ってそのメモを書いたそうです。日本までの船旅中にノーベル物理学賞受賞の知らせを受けて、気分もよかったのでしょうが、百年後とはいえ、このチップ、史上最高額になるのではないでしょうか。
また、内容もいいですね。現物の写真はこちら。

便せんの左上とヘッダに帝国ホテル/Imperial Hotel Tokyo の文字が見えます。
原文はドイツ語だそうですが、日本語は英語/”A quiet and modest life brings more joy than a pursuit of success bound with constant unrest.”からの訳です。

今週の名言・迷言 17

誰かが私から何かを期待しているという考えには耐えられない。それを聞くと、私はいつも反対のことをしたくなる。

ジャン・ポール・サルトル

サルトルは20世紀フランスの実存主義哲学者(1905年~1980年)。

第二次世界大戦後の西欧で、『第二の性』の著者でありフェミニストで事実上の妻でもあったシモーヌ・ド・ボーボワールと共に、一躍、時代の寵児となった思想家です。

サルトルでよく知られているのはベトナム戦争当時の「飢えた子供の前で文学は有効か」という問いかけです。

今週の名言・迷言 16

嘘は、真実が靴をはいている間に、世界を半周できる。

マーク・トウェイン

『トム・ソーヤの冒険』で知られるアメリカの作家マーク・トウェインは、児童文学の枠におさまらない米国現代文学の祖ともいうべき存在です。

ヘミングウェイが「アメリカの現代文学はすべてマーク・トウェインの『ハックルベリーフィンの冒険』に由来する」と述べたのをはじめ、ウィリアム・フォークナーも「最初の真のアメリカ人作家」と激賞しています。

ハレー彗星が観測された年に生まれたので、「自分はハレー彗星と一緒に去って行く」と述べていて、その通り、次にハレー彗星が出現した年に亡くなりました。

偶然に彗星の周期(76年)と人間の寿命が一致しただけでしょうが、こういう逸話に事欠かない、波瀾万丈で抱腹絶倒の人生を送りました。