今週の名言・迷言 20

人は幸せになろうと心に決めた分だけ幸せになれる。

エイブラハム・リンカーン

合衆国十六代大統領リンカーン(1809年~1865年)はおそらく史上で最も人気のある米国大統領の一人です。「国民の国民による国民のための政治」という民主主義の根本をわかりやすく説いたゲティスバーグの演説や奴隷解放宣言でも知られていますが、インディアンに対しては敵対心を抱いて排除するなど、今日の基準に照らすと疑問が生じる行為もあります。

最初の共和党大統領であり、暗殺された最初の大統領でもあります。

子供は四人いましたが、成人できたのは長男だけで、次男は四歳、三男は八歳、四男は十八歳で亡くしています。そのためか、リンカーンは抑鬱状態になったことがあり、妻は夫や子供をなくしたことから精神疾患をわずらい、一時的に療養所に入所したりしています。

「幸せになろうと心に決めた分だけ…」というのは、そうした苦しみをへて出てきた言葉かもしれません。

今週の名言・迷言 19

ぼくは君がぼくに嘘をついたから怒っているのではない。これからはぼくが君を信用できなくなることに怒っているのだ。

フリードリッヒ・ニーチェ

ニーチェ(1844年~1900年)は一九世紀ドイツの哲学者。『ツァラトゥストラはかく語りき』『善悪の彼岸』などの著作で知られています。

牧師の息子として生まれたものの、後に信仰を捨て、無国籍となり、若すぎる晩年の十年ほどは狂気に生きた実存主義哲学の先駆者です。

三十歳以上も年齢の離れた作曲家のワーグナーとも親密でしたが、どちらも(よくいえば)個性が強く、(悪くいえば)ワーグナーは自尊心丸出しの俗物、ニーチェは頑固な変人で、当然のように衝突し、後に決別しています。

こういうことは彼の生涯には数多く、それがこの名言・迷言に結びついているのかもしれません。