人生の名言・迷言 48

あと二週間で縛り首にされるとわかっていれば、人間はすばらし集中力を発揮する。

サミュエル・ジョンソン

サミュエル・ジョンソン(1709年~1784年)はイギリスの作家で、最初の英語辞典を単独で編纂し、シェイクスピア全集の校訂を行ったことでも知られています。

  偉大な成果は、強さではなく、忍耐によって成し遂げられる。

とも、述べています。

とはいえ、今日までその名が知られているのは、ボズウェルの伝記『ジョンソン伝』で、そのユニークな人柄(談話の名手など)が広く知られるようになったことも一因でしょう。

1755年に完成した英語辞典全2巻の編纂は、ロンドンの出版業界から資金提供されて依頼を受けたのがきっかけでしたが、完成までに要した期間は10年ほどでした。

日本で最初の近代的な国語辞典である『言海』は、大槻文彦が着手してから第一稿ができるまでに7年、推敲に4年かけ、完成まで11年かかっています。もともとは文部省在職時に命じられた作業でしたが、出版は完成からさらに5年経過した1891年で、しかも自費出版でした。

ちなみに、フランス語辞典は、アカデミー・フランセーズが40年がかりで完成させています。

ジョンソンの英語辞書には、こんな定義が含まれています。

Lexicographer(辞書編集者)=辞書を書く人。文章を調べてまわり、言葉の意味を詳述することに忙殺されている、無害な労働者。

これを受けて、『悪魔の辞典』を書いたアンブローズ・ビアスは、

辞書編集者: 言語が発達していく、ある特定段階を記録するふりをしつつ、その言葉の成長を阻害するため自分に可能なことを行い、柔軟性を失わせ、仕組みを機械化しようとする有害なやつ。

もう一つ、有名な例を――

オート麦=穀物。イングランドでは一般に馬に与えられ、スコットランドでは人が食べている。

さすがに、これは物議をかもしたので後に削除されましたが、伝記を書いたボズウェルは、「だから、イングランドの馬とスコットランドの人間は優秀なのだ」と注釈をつけたことで知られています。

ちなみに、ボズウェルはスコットランド人でした。

人生の名言・迷言 47

一番楽しかったのは、マイナーリーグの試合でバスに乗って移動しているときに休憩所でポテトチップスなんかを買ったりしたことだよ。

マイケル・ジョーダン

マイケル・ジョーダン(1963年~)といえば、プロバスケットボールのNBAでシカゴ・ブルズを六度も優勝に導き、オリンピックでの米国の金メダル獲得にも貢献したスーパースターですが、1993年10月、突然に引退を表明しました。

年齢的にも実力的にもプロ選手としてまだ十分にやれる状態でしたが、その三ヶ月ほど前に、電気技術者だった父親が、路肩にとめた車で仮眠をとっていたところを強盗に襲われ、銃で撃たれ川に捨てられるという衝撃的な事件が起きたことが一因でもあったとされます。犯人は二人組で十八歳だったそうです。

バスケットボールを引退した後、メジャーリーグのシカゴ・ホワイトソックス傘下のマイナーチームと契約し、自分より一回りほど若い選手たちとメジャー昇格をめざしていたころを振り返っての発言です。

ジョーダンの野球への挑戦は賛否両論ありましたし、結局はメジャーリーガーになるという夢は実現しませんでしたが、人の目を気にせず自分の夢を追いかけるということも、輝かしい栄光を得た後の生き方として悪くないのではないでしょうか。