人生の名言・迷言 42

Love 愛【名詞】 結婚によって治癒可能な一時的狂気

アンブローズ・ビアス

アンブローズ・ビアス(1842年~1913年?)は、『悪魔の辞典』などシニカルな著作で知られるアメリカのジャーナリスト/作家です。

南北戦争を題材にした『アウル・クリーク橋のできごと』など、巧緻(こうち)な仕掛けがなされた短編を残した作家としても知られていますが、71歳で旅に出たまま、現在に至るまで消息不明となっています。

「愛」の定義では、この病気は虫歯などのように、人工物に取り囲まれた文明国の人間に特有のもので、きれいな空気を呼吸し汚染されていない食物を摂取している非文明国の人間は罹患しない云々、と続きます。

精緻(せいち)に計算されつくした短編ではひけをとらない日本の作家、芥川龍之介の短編『藪(やぶ)の中』や箴言(しんげん)集の『侏儒(しゅじゅ)の言葉』は、それぞれビアスの短編『月に照らされた道』と『悪魔の辞典』に触発されたものだといわれています。

なお、悪魔の辞典では、愛という一時的な狂気を治癒するという結婚についても、こう記しています。

Marriage 結婚【名詞】一人の主人と一人の女主人、それに奴隷二人からなるが合計しても二人しか存在しない共同体という状態または状況。

おことわり: このところ掲載が不定期になっているため、今回から「今週の名言・迷言」を「人生の名言・迷言」と名称変更します。