今週の名言/迷言 5

われわれが主としてすべきなのは、遠くのぼんやりしたものを眺めることではなく、手元ではっきりしているものを実行することだ。
                 トーマス・カーライル
 
カーライルは十九世紀イギリスの歴史家。日本では夏目漱石が『吾輩は猫である』で同病相あわれむ存在として名前をあげたり、カーライル博物館を訪れた際の様子をエッセイ(『漾虚(ようきょ)集』に収録)に書いたことなどで知られています。
 
最近では自己啓発の古典『道は開ける』(デール・カーネギー著)で、昨日や明日ではなく今日という枠の中で生きていくことの重要性についての項で紹介され、それで知ったという人の方が多いかもしれません。
 
同じような趣旨のことは古今東西を問わず、いろいろな作家や哲学者や宗教者などが、細かい表現の差異はあるものの、繰り返し述べています。
 
ということは、いつの時代にも通じる箴言ということになるのでしょう。
 
たしかに、人間が具体的に手にできるのは「いま」しかなく、今日は昨日にとっての明日だったわけで、目の前の「いま」に集中し最善を尽くすことを日々繰り返すことが「人生をよりよく生きる」ということなのかもしれません。

今週の名言・迷言 4

上手に真似するくらいなら、独創しようとして失敗したほうがましだ。

                ハーマン・メルヴィル

ハーマン・メルヴィルは海洋巨編『白鯨(モビー・ディック)』の作者として知られる十九世紀アメリカの作家。
現在でこそ米国を代表する作家として高い評価を受けていますが、発表した作品は白鯨を含めて、寓意と悲劇性に満ち、決して読みやすくはないため、生前にはほとんど評価されませんでした。
二十世紀になって再評価がなされ、現在もその評価はなお上昇しつつあるようです。
作家として他に類のない作品を書きながら不遇のまま亡くなったことを思えば、この言葉も胸に響くものがありますね。

今週の名言/迷言 3

「私は失敗をしたことがない。うまくいかない一万の方法を見つけただけだ」

トーマス・エジソン

また、こうも言っています。「失敗した人の多くは、あきらめたときに自分がどれほど成功に近づいていたかがわからなかったのだ」

発明王のエジソンと言えば、「天才とは1%のひらめきと99%の汗」という言葉も有名で、受け取る側の性格によって、99%の汗/努力(perspiration)に重きをおいて解釈する人(こちらが多数派?)と、1%のひらめき(inspiration)に重きをおく人に分かれるようです。

あなたはどちら?