今週の名言/迷言 5
われわれが主としてすべきなのは、遠くのぼんやりしたものを眺めることではなく、手元ではっきりしているものを実行することだ。
トーマス・カーライル
カーライルは十九世紀イギリスの歴史家。日本では夏目漱石が『吾輩は猫である』で同病相あわれむ存在として名前をあげたり、カーライル博物館を訪れた際の様子をエッセイ(『漾虚(ようきょ)集』に収録)に書いたことなどで知られています。
最近では自己啓発の古典『道は開ける』(デール・カーネギー著)で、昨日や明日ではなく今日という枠の中で生きていくことの重要性についての項で紹介され、それで知ったという人の方が多いかもしれません。
同じような趣旨のことは古今東西を問わず、いろいろな作家や哲学者や宗教者などが、細かい表現の差異はあるものの、繰り返し述べています。
ということは、いつの時代にも通じる箴言ということになるのでしょう。
たしかに、人間が具体的に手にできるのは「いま」しかなく、今日は昨日にとっての明日だったわけで、目の前の「いま」に集中し最善を尽くすことを日々繰り返すことが「人生をよりよく生きる」ということなのかもしれません。