今週の名言・迷言 38
人の性格を一番よく表しているのは、その人が自分に利益をもたらさない者をどう扱うかと、自分に反抗できない者をどう扱うかなのですよ。
アビゲイル・ヴァン・ビューレン
アビゲイル・ヴァン・ビューレン(1918年~2013年)は、アメリカのコラムニストで、「親愛なるアビー」で始まる、半世紀以上続く新聞の人生相談コーナーの名回答者として人気がありました。
同じく有名な人生相談のコラムニストにアン・ランダースがいますが、双子の姉妹です(どちらも筆名)。
アン・ランダースが先に人生相談コラムを連載し、その後にアビゲイルが「親愛なるアビー」のコラムを開始したのですが、事前に相談がなくパクられたということで、この姉妹は十年も続く大げんかをしてしまいました。
紙上で人生を論じ、生き方を説いていた回答者同士が、姉妹でありながら、口もきかない犬猿の仲になったわけで、それがスキャンダルとして大きく雑誌などで取り上げられました。
が、皮肉なことに、そのおかげで二人のコラムは全米中に知れ渡り、新聞で大人気の名物コーナーになっていったのです。
悪名(あくみょう)は無名(むめい)に勝る(There is no such thing as bad publicity)を地でいく話で、昨今のSNSの炎上商法も、検索ワードで上位に来れば広告収入が増すわけですから、それもうなづけます。
ところで、アビゲイル・ヴァン・ビューレンはすでに亡くなっていますが、「親愛なるアビー」ではじまる人生相談コーナーは現在も続いています。
本人が晩年にアルツハイマー病になってからは、娘が母親の名前を引き継いで回答を続けているようです。
歌舞伎や落語など日本の伝統芸能では「名跡の襲名」はごく一般的に行われていますし、サザエさんの作者の死後も新作アニメが毎週放送されているようなものでしょうか。