人生の名言・迷言 75: 善人はこの世で多くの害をなすが、その最大のものは、人間を善人と悪人にわけることだ
善人はこの世で多くの害をなすが、その最大のものは、人間を善人と悪人に分けることだ。
オスカー・ワイルド
オスカー・ワイルド(1854年〜1900年)はアイルランド・ダブリン出身の詩人、作家、劇作家です。
フランス語で執筆した戯曲『サロメ』や、若さや美と人間の業や老醜とを極限まで突き詰めた長編小説『ドリアン・グレイの肖像』などの作品があります。
オックスフォード大学在学中に詩を発表し、首席で卒業した後、芸術家きどりの派手な言動と何かと物議をかもす恋愛沙汰で、ある意味、スキャンダルまみれの時代の寵児ともなりましたが、四十そこそこで猥褻(わいせつ)罪で投獄された挙句(あげく)に破産しました。
服役して出所して以降、世間からは忘れ去られた存在で、妻の死に目にも会えず、放浪中のパリで性病(梅毒)による脳髄膜炎により、四十六歳の若すぎる生涯を閉じました。
オスカー・ワイルドといえば耽美主義の化身のような生き方をした人で、谷崎潤一郎など日本の作家にも大きな影響を与えましたが、晩年は完全に世間から見放されていました。
善悪で人を分類することに対する反発は、こうした実体験に裏付けられているのでしょう。
この言葉には続きがあり、「人間なんて、魅力があるか退屈なやつかのいずれかだ」と述べています。
人間を魅力的か退屈な凡人かに分類するとすれば、本人は自分は当然に前者だと思っていたはずです。